現在、世界中で大きく盛り上がっているeスポーツ。
世界にたくさんのゲームを発信している日本でも、eスポーツは大きな注目を浴びています。
日本でeスポーツは一体どのくらい認知され盛り上がっているのか?
この記事では、研究分野から見るeスポーツの事情や将来的なビジョンまで調査してまとめました。
目次
eスポーツ 日本と海外の違い
日本のeスポーツは、北米、欧州、アジア(特に韓国と中国)と比べて小規模であり、世界水準に追いつくためには、まだ発展が必要です。
近年では、プロ選手の育成や社会的認知が急速に改善されつつあり、今後の展開が期待されています。
ゲーム市場
(出典:日経クロステック)
日本におけるeスポーツの直接市場の規模は2018年が48億円程度で、2022年には100億円と試算されています。
さらに周辺市場を含めると、現在300億円程度の市場が2025年には3000億円程度になると見られています。
2021年の東京五輪のプレイベントとして「オリンピックバーチャルシリーズ」が開催されたことや、アジア競技大会などでeスポーツが正式競技となることなど、どんどんイメージの向上が進んでいます。
日本でもゲーム人口が多く、eスポーツの潜在需要は大きいとみられ、今後も大会の開催数増加や規模の拡大、選手やファンの増加によって高成長が見込まれます。
競技人口
(引用:毎日新聞)
eスポーツの競技人口は世界全体で1億3,000万人、日本では約400万人いると言われています。
ゲームの発達度やインフラを考えると日本の割合がとても少ないように感じます。
eスポーツという単語が使われ始めた当初は、世界中で盛り上がり始めましたが、日本では法整備の遅れなどがありながらも確実に認知が進んでいます。
2020年における日本のeスポーツファン数(試合観戦・動画視聴経験者)は、前年比142%増の686万人と大幅に増えてきています。
eスポーツファン数が増えることで、経済圏が広がり更なる発展が期待されます。
eスポーツ 日本の現状
日本のeスポーツの現状は、法的な課題や認識の違いなどの課題が残っていますが、世界的にみて順調に発展を続けています。
本来、日本はゲーム大国であり、高い技術力と熱狂的なファン層を抱えています。
課題を克服することで、世界に通用するeスポーツ大国へと成長する可能性があります。
eスポーツ市場の拡大を阻む法律
世界では1億円にも上る賞金が出されるeスポーツ大会が開催されていますが、日本では下記の法律により高額な賞金を出せない状態にあります。
著作権法
刑法(賭博罪)
興行場法
景品表示法
風俗営業法
日本国内のeスポーツの大会はこれらの法律に違反しないように、さまざまな制限があります。
十分な賞金が出されなければプレーヤーの育成や活動が制限されるなど難しい側面があり、日本国内でeスポーツが盛り上がるのは難しくなるでしょう。
賞金が出せない影響は、プレイヤーや参加者、未来のeスポーツ選手の育成にまで及んでしまっています。
ゲームに対する考え方の違い
ごく一般的な風潮として、ゲームを長時間楽しむと、保護者が「ゲームは勉強の妨げになる」という古い価値観が根付いています。
ゲームやeスポーツがもたらすメリットには、集中力の向上や想像力・コミュニケーション能力を育む点などが明らかになってきています。
しかし、確実なエビデンスが浸透していないため、家庭教育でeスポーツのメリットやプロリーグで活躍するeスポーツ選手の生活が認知・許容されることは難しいです。
eスポーツが普及すると、ゲーム依存や視力の低下などが深刻になるとのではという要因となり、日本ではeスポーツを「スポーツ」だと認識するのが難しいと言えます。
精神力や頭脳の競技という点で、将棋や囲碁と同じようにeスポーツを認知を拡大できるといいですね。
教育面で見るゲーム・リテラシー
ゲーム・リテラシーとは主に「ゲームをプレイする能力」、「ゲームに関する意味を理解する能力」、「ゲームを作る能力」の中に存在していると定義しています。
ゲーム・リテラシーを身につけるためには、ゲームプレイヤーの心理的側面やどのような目的を持ってビデオゲームを利用するのかを言語化して研究していく必要があります。
環境が発達してきたことにより、問題視されているゲームへの依存に関しては、教育やレギュレーションを浸透させることよって、しっかり防ぐことができると考えられています。
ゲームの中でも現実と同じようなマナーが求められていることから、教育界においてもeスポーツは注目されているのです。
日本のeスポーツを盛り上げる立役者
日本のeスポーツを陰で支えてきた立役者が存在します。
黎明期から徐々に認知が広まってきたのは、業界で活動してきた立役者の功績と言えます。
日本のeスポーツ市場の現状
日本のeスポーツ市場は2018年以降徐々に盛り上がりを見せています。
その要因として下記の3点があげられます。
多彩な種目で国内プロリーグの増加
国内大会の開催
日本のプロeスポーツ選手の海外進出
日本でeスポーツが普及する上でネックとなっていた部分が取り除かれ、世界の基準に近づいている兆しが見えます。
国内プロリーグが増えることによって、多くの人にチャンスが巡り、日本でもeスポーツが流行するきっかけとなるはずです。
大会の規模も徐々に大きくなってきているので、賞金の高額化が期待されます。
日本のプロeスポーツ選手の活躍が、日本のeスポーツ市場をけん引しています。
日本初のeスポーツ専門高校「eスポーツ高等学院」
eスポーツチームの東京ヴェルディeスポーツは、2022年4月より日本初のeスポーツ専門高校「eスポーツ高等学院」を開校しました。
eスポーツが教育の中で担う期待は、大きくなっています。
ゲームの世界もどんどん現実に近づいていますので、マナーや立ち振る舞いを教える現場が特に必要になってきています。
eスポーツ高等学院は、eスポーツを通じて社会で活躍できる人間を育てることをコンセプトとした学校で、東京ヴェルディeスポーツとNTTe-Sportsがサポートしています。
東京ヴェルディeスポーツ所属のプロ選手による講義に加えてNTTe-Sportsが持つノウハウが詰まったプログラムなど、様々な授業が用意されています。
eスポーツにおける人気タイトルを中心にFPSやTPS、RTS、MOBAなどさまざまなジャンルのゲームが校内でプレーでき、専門ジャンルのプロ選手から直接指導を受けられます。
大会などでプレーして賞金を得るプロゲーマーを目指す以外にも、ストリーマーや、実況者、プログラマー、アナリスト、ライターなど将来なりたい関連職に合わせた授業を受けることができます。
まさに、eスポーツ業界に携わる仕事について、総合的にカバーしているエキスパートな専門学校と言えます。
一般社団法人日本 e スポーツ連合
近年は、日本のプロeスポーツ選手の活躍により、日本のeスポーツ市場が盛り上がっています。
主に日本のプロゲーマーは「ストリートファイター」で数々の大会に出場し活躍しています。
こうした活躍により、日本選手の認知が広がり、世界中からプレイヤーを呼び込むことが出来るのです。
こうした中、日本における e スポーツの振興に向けて2018年 1月に設立されたのが、一般社団法人日本 eスポーツ連合(JeSU)です。
eスポーツ連合は、国際大会への日本代表選手派遣を見据えた日本オリンピック委員会への加盟や、法的課題などeスポーツを取り巻く環境整備を目的としています。
国内でそれまで個別に活動していた関連 3 団体を統合する形で,国内唯一の e スポーツ統括団体として設立されました。
JeSUは,一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会,一般社団法人オンラインゲーム協会というゲームソフト,ゲームアプリのパブリッシャー(IP ホルダー)の協力のもと立ち上がった、世界でも類を見ないスタイルの団体です。
e スポーツの発展と地位向上に向けた環境整備を通じて,国民とりわけ青少年の心身の健全な育成に寄与することを目指して活動を行っています。
JeSU は、2024年6月11日に公益財団法人日本オリンピック委員会(JOC)の準加盟団体として承認されたことを発表しました。
第20回アジア競技大会(2026/愛知・名古屋)に向けて選手派遣を迅速かつ着実に進めることを最優先として手続きを進め、加盟に至りました。
JeSUは、開催国の統括競技団体として、ひとりでも多くの日本人の金メダリストを、eスポーツ競技から輩出できるよう、今後いっそう競技力の向上に努めていくとコメントしています。
eスポーツにおける日本の未来は明るい
日本におけるeスポーツは急速に環境が整ってきており、認知度も上がってきています。
海外に比べると、規模の大きさや教育にかける制度などは遅れていますが、いずれ差は埋まっていくでしょう。
この機会にぜひeスポーツの魅力に触れてみてください。