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eスポーツツーリズムとは?国内外の現状とこれからの可能性

eスポーツは地域活性化のために積極的な取り組みが行われています。


最近では、各自治体でもeスポーツに焦点をあてたイベントや様々な企画を行うことが増えています。


この記事では、eスポーツイベントの開催によって、自治体が経済効果を得られるeスポーツツーリズムについて紹介していきます。


eスポーツツーリズムとは?

eスポーツツーリズムとは、eスポーツと観光旅行を組み合わせた観光事業のことです。


既存のリアルスポーツには、スポーツツーリズムが存在しますが、これは「スポーツの観戦や参加を目的に旅行をする」という、スポーツ業界と旅行業界を結びつけるものです。


これに対し、eスポーツ観戦を呼び水としてツーリズムを立ち上げていくのが「eスポーツツーリズム」です。


通常のスポーツツーリズムでは、「観戦」、「参加」、「交流」などが目的となり、その地域や観光内容に合わせてイベントが開催されます。


実は、すでにこうした動きは海外で盛んになっていますので、eスポーツを主体とした旅行プランや観光地の発展は、これから国内でも増えてくると予想されます。


eスポーツツーリズムは、旅行に興味がなかった層に対しても、eスポーツイベントをきっかけに地域の特産や名物を知ってもらい、魅力を発信していく大きなチャンスとなります。


eスポーツが観光業やインバウンドに与える影響

eスポーツは、これまで観光に興味がなかった若者などを集めることができます。


eスポーツツーリズムは、大きな大会やイベントに参加するために遠出をし、その空き時間を利用した観光につながるため、観光地では積極的に取り組みを行っています。


自治体は、地域での交流や消費拡大につなげるため、大会の誘致に乗り出し、一方で旅行会社は、新たなマーケットに期待して宣伝を行っています。


海外のeスポーツツーリズムの現状

現在、アメリカのラスベガスや4大陸、シドニー(オーストラリア)、上海(中国)、シカゴ(アメリカ)、カトヴィツェ(ポーランド)などで大きな大会が開催されていて、IR施設と組み合わせた仕組みが大きく成功しています。


例えばラスベガスでは、大きなカジノイベントの会場を貸し切ってゲーム大会が行われています。


また、eスポーツの成長が著しい中国では、政府支援のもと、各地でeスポーツ特区が制定され、専用スタジアムまで建設されています。


中国メディアは、「eスポーツ産業の経済圏はこれからさらに豊富になって整備され、eスポーツタウン、eスポーツのテーマパーク、eスポーツ映画館などが、文化・観光の発展を促進し、関連政策もeスポーツから発展したサービス項目をますます規範化するだろう」と報じています。


海外でのeスポーツイベントは参加人数や観戦者も多く、その経済効果にも世界中の注目が集まっています。


国内のeスポーツツーリズムの現状

東京では、様々な主要駅にeスポーツカフェが増えています。


渋谷で先日新装開業したパルコ内にもeスポーツを観戦できるカフェがオープンしました。


秋葉原と並び、アニメ好き・ゲーム好きが集まる「聖地」として知られている池袋には、2018年4月に「LFS池袋e sports Arena」がオープンしています。


LFS池袋は、eスポーツのすそ野を広げる役割が見込まれています。


プロ級のトップゲーマーがプレイする場所であると同時に、公共スポーツ施設やバッティングセンターのように、誰でもeスポーツを楽しめる場所として運営されています。


一方、大阪では、昨年の6月に開業したエディオンなんば本店に、海外で人気の対戦ゲームでeスポーツが体感できるスペースも設置されました。


さらに、大阪日本橋には、国内初となる「泊まれるeスポーツ施設」をコンセプトとしたeスポーツ特化型ホテル・e-ZONe 〜電脳空間〜が開業しました。


このように大阪では、eスポーツの普及を目的とした「eスポーツリテラシーセミナー」を開催するなど、外国人観光客増加によるインバウンド効果で活況の大阪ミナミをeスポーツの聖地にしようと力を入れています。


eスポーツがインバウンド観光の起爆剤に

eスポーツとインバウンド観光は、非常に相性の良い産業であると言われています。


その理由の1つは、eスポーツの主な市場が海外であることです。


eスポーツが、海外からのインバウンド観光客を誘致するコンテンツとなっているのです。


スポーツスタジアムのような施設を新設する必要がなく、PCとインターネットが備わってさえいれば、安価で開催可能であるという大きなメリットが存在します。


日本政府もeスポーツの市場規模の大きさに着目し、観光資源以外のアクティビティコンテンツとして、地方が生き残るための新産業要素の一つであると注目しています。


その注目度の高さは、産業横断の検討会を立ち上げたことからもわかります。


富山県で行われた5Gコロシアムの期間中、県のeスポーツ協会が商店街でアフターパーティーを開催し、地酒や郷土料理を提供したことが話題になりました。


eスポーツは、その他の周辺産業への波及経済効果も大きいと考えられていて、大会ツアーやIRとの連携など、経済産業省も力を入れて積極的に議論しています。


eスポーツビジネスの振興を通して地方創生

「ゲーム都市宣言」を掲げている福岡市は、ゲーム産業推進組織があり、eスポーツビジネスの地域振興を絶好の機会と捉えています。


eスポーツの大会などのイベント誘致を中心にしたビジネス創出することで、eスポーツを活かしたエコシステムづくりを町ぐるみで実現していくとしています。


このように、若年層の集客を見込めるeスポーツは、全国各地の地域振興のイベントにも活用されるようになってきています。


地域の魅力発信と観光誘致

地域の観光スポットや文化をデジタル空間で再現し、デジタルと融合した観光施策を実現する施策が進んでいます。


ゲーム内で地域の名所をVRなどで再現して催すイベントや、プロeスポーツチームとの交流イベントを通じて、地域の魅力を発信していく取り組みです。


オンラインとオフラインを融合してのイベント参加を可能にすることで、全国どこからでも参加できるようになります。


茨城県が目指すeスポーツ・エコシステムづくり

茨城県で2019年10月に開催された「いきいき茨城ゆめ国体」では、そのプログラムの一環として「全国都道府県対抗eスポーツ選手権」も開催されました。


全国規模のeスポーツとしては初の取り組みとなり、茨城県ではeスポーツを地域産業の活性化という目的で活用するビジョンのもと企画されました。


そして、地域の産業として定着させるべき「eスポーツ・エコシステムづくりへの挑戦」を掲げました。

県内企業と自治体、学校などが連携し、環境整備とともに既存の観光資源を組み合わせた企画を推進しています。


具体的な取り組みとしては、ゲーミングPCやモニター等を県内の施設に常設し、eスポーツを身近に体験してもらうこと、関連ビジネスに参入したい企業を対象とした「eスポーツアカデミー」、eスポーツを通じて様々な事業者が交流する「eスポーツ産業創造フォーラム」などです。


地方都市の強みを生かして、観光産業とeスポーツ・エコシステムを組み合わせています。


トヤマ ゲーマーズデイ 2019

富山県の高岡市では、2019年9月に「トヤマ ゲーマーズデイ 2019 5Gコロシアム」というeスポーツイベントが開催されました。


県内最大級の会場を使用し、2日間で大会参加者と来場者合わせて約3500人が集まりました。


県外から来場した参加者が多くの割合を占めていたことから、関係者を驚かせました。


イベントの成功により、地方でもこれほど質の高いイベントができると大きな自信となり、SNS上で話題となりました。


そして、”ToyamaGamersDay”は、現在も継続して開催されており、北陸最大のeスポーツイベントとして日々進化しています。


アジアeスポーツツーリズム in OKINAWA

沖縄県でeスポーツツーリズム事業の一環として行われた2020年の「アジアeスポーツツーリズム in OKINAWA」では、複数のeスポーツ競技が行われ、プロ選手などが腕を競いました。

Play!New STAGE. 愛知県西尾市もともとマラソンや女子バレーなどと連携し、スポーツツーリズムを推進している都市でる愛知県西尾市が、2022年8月から新たにeスポーツを活用して観光振興とともに地域課題を改善する活動を始めています。


2023年12月16日に行われた「西尾市eスポーツチャンピオンシップ2023」では、「ぷよぷよ™️テトリス®︎」と「ストリートファイターV チャンピオンエディション」の大会が開催され、市外からも参加者が訪れました。

小田原市e スポーツコンテンツ造成業務

小田原市は、NTTe-Sports、NTT東日本神奈川事業部と共に、eスポーツをはじめとしたデジタル技術と地域の観光アセットを融合した新たな観光誘客施策を提供し、地域活性化を目指すと発表しました。


若年層に人気があり、年齢、性別、障がいの有無関係なく多くの人が参加できるeスポーツを観光施策として取り入れ、若年層を中心とした誘客や交流の活性化を目指します。


また、オリジナル番組の配信や地場商品の通販も行い、地域の魅力を広報しています。


eスポーツにおけるエコシステム

(出典:経済産業省)

eスポーツにおけるエコシステムは、まずゲーム会社が提供するゲームタイトルのコミュティ、そのコミュティリソースを利用した興行会社やメディアによる大会やリーグの運営が連携して生まれます。


このエコシステムが拡張することで、地域の活性化へとつながります。


スポンサー企業とインフラ提供企業が資金面と技術面で興行会社やチーム運営会社を支えているのが、現在のエコシステムの基本となります。


アメリカ国内では、eスポーツ産業の成長に伴い、不動産デベロッパーが古いテレビスタジオや小売スペースを改装し、eスポーツ専用スタジアムとして再利用するケースが増えています。


なお、これらのeスポーツスタジアムは、同じゲーム機器とプレイ環境を提供することで、ゲームの試合に正当性をもたらすとともに、多数のファンが一堂に会するコミュニティ活性化の場としても重視されるようになっています。


eスポーツ・エコシステム実現のために重要なのは、人が集まれるコミュニケーションの場が必要であると海外では考えられています。


eスポーツツーリズムは地方経済の発展に寄与

従来のスポーツツーリズムと同様に、観戦だけでなく、大会参加、関連施設見学、プロゲーマーとの交流、    ゲーム体験などが含まれます。

観光、宿泊、飲食、交通など、様々な業界と連携したサービス展開が見込まれます。

また、地域資源とeスポーツを組み合わせた、独自の観光コンテンツ開発などがゲーム産業と観光産業の双方に大きな成長が見込める可能性を秘めた分野として注目されています。


海外などのeスポーツツーリズムの事例を見てみると、周辺産業とのしっかりとした連携があって成功しています。

eスポーツでも野球やサッカーのような地域密着型スポーツのようにコミュニティを形成できるのが理想ではないでしょうか。

市場属性、地域によってビジネスの慣習が異なるため、難しさがありますが、挑戦するだけの価値は十分あるでしょう。

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